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フーケ 一族の夢の欠片(かけら)

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アルカディアの牧人たち(1638~1640ころ ルーブル)
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ニコラ・プッサン(1594~1665 71歳没)は、17世紀バロック時代の画家で、私が好きな画家の一人です。フランス生まれですが、人生の大半をローマで過ごしたようです。古代研究家とも交流を持ち、絵画を彫刻のように表現したため、作品も宗教色が強いのでしょう。「朕は国家なり」と言ったルイ14世の時代、財務長官を担当していて莫大な資産を投じ、建築家と共に壮麗な宮殿を造ったニコラ・フーケには、神父の弟がいました。弟ルイ・フーケは、ローマでプッサンに会い、兄のニコラに手紙を送るなどして有力な情報を与えていました。ニコラが財を増やしていけたのも、プッサンとルイが一役買っていたのかもしれません。のちに私服を肥やし過ぎたニコラは、ルイ14世に嫉妬され疎まれて投獄されます。(これでフケてしまった?)亡くなるまで監獄で過ごしたため、この話がアレクサンドル・デュマの「三銃士」や「仮面の男」のモデルになったとも言われています。現在に至っても、ヴェルサイユ宮殿が燦然と輝いているのは、王の怒りを買ったニコラが陰謀の中に葬られた歴史の産物なのでしょう。ニコラ・フーケが建設した宮殿に対抗して造られたのが、ヴェルサイユ宮殿でした。しかし、ルイ14世はフーケ一族を追放した後も、プッサンの「アルカディアの牧人たち」を寝室に飾り、自身が息をひきとるまで手放さなかったことから、歴史家たちはこの絵には大いなる秘密が隠されていると考えているようです。「アルカディアの牧人たち」に描かれた石碑には、ラテン語で文字が刻まれています。「ET IN ARCADIA EGO」で「我、アルカディアにあり」という意味を示し、この「我」が誰なのか?また、理想郷(ユートピア)を表すアルカディアがどこなのか、未だに謎に包まれており気になるところです。この絵の風景と石碑が、南仏に実際に存在したことから、多くの本が出版されました。私が、ヨーロッパの絵画で最初に心惹かれたのはラファエロでしたが、ここ数年はこのプッサンです。最近ではターナーとそんなに多くありません(もちろん、他にも素晴らしい画家は沢山いるのですが)。先日のこと、調べているとプッサンはラファエロに傾倒し、影響を受けたらしく、ターナーはこのプッサンの自然描写を参考にしていたことを知りました。恥ずかしながら、私はこのことをまるで知らなかったのです。好みの画風は偶然ではなく、ちゃんと画家が想いを込めて描いているからなのだと納得しました。
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人生の踊り
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ゲルマニクスの死(1627ころ)
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フローラの王国(1631 ドレスデン)
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サビニの女の略奪(1633~1634)
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ダイアナとエンデュミオン(1630)






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by dd907 | 2017-09-03 16:02 | | Comments(0)

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by 白庵
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