聖地

イエス・キリストの生誕地、ベツレヘムの聖教教会（4世紀にローマ皇帝コンスタンティヌス1世の命により、キリストが生まれた洞窟の上に建設）で、このほど発見された天使のモザイク画。この教会は1700年の歴史をもち、修復するプロジェクトの最中に偶然見つかった。12世紀のもので、何百年もの間、漆喰の下に隠されていた。

高さ2.4mの天使は、いにしえから巡礼者達を見守ってきた6体の天使の仲間入りをすることになった。

12世紀、十字軍国家エルサレムの王アモーリー1世と、ビザンツ帝国皇帝の、マヌエル1世コムネノスの命によって制作された。ガラス、貝の真珠層、石のタイルでできており、ガラスの下には金や銀が敷かれているという。

教会内部
修復現場

長いので興味のない方はスルーしてくださいね。

かなり前の事になるが「ダ・ヴィンチ・コード」が出版され、映画も話題となり日本を席巻していた頃、同時にこの本が書店に並んでいたので読んでみた。いわゆるベストセラーと言われる本を以前より読まなくなったのは、正直それほど面白いとも思えず、私の興味にひっかからない事に気付いてしまったからだ。それでも東野圭吾や宮部みゆき、村上春樹を少し読んでみたりもした。本屋大賞をとった「天地神明」や、ピース又吉の「火花」も家にあるものの未だに読めていない（すみません）。ダ・ヴィンチの映画のラストで流れていた曲を作ったのは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」の音楽も制作したフランクフルトの作曲家だという（ディズニーランドのカリブの海賊はワクワクした)。私にとっては「ダ・ヴィンチ・コード」にまつわる種本や、攻略本の方が歴史に忠実で、わかりやすく面白かった。丁度この頃CSチャンネルを契約しており、手始めにヒストリーチャンネルとナショナルジオグラフィックを視聴する事に。「ダ・ヴィンチ特集」に総力を挙げていて、イタリアのヴィンチ村で育つところから、フランス国王のフランソワ（最後のパトロン）に看取られるまで、数回にわたりドラマ形式で放送していた。この人の天才ぶりについてはとても計り知れないが、少なくともどんな生涯を送ったかだけは垣間見る事が出来た。映画にはあまり出てこなかったが、イエスとマグダラのマリアの血筋にまつわる伝承を、「秘密の地」と称し紹介していた。
「ユダの福音書」もこの中に書かれた内容が、映画のように映像化されていてよくできていた。最近読んだ本格的なユダについての神学書には、「この本はダ・ヴィンチ・コードの映画公開に日程を合わせて出版されていて、ナショナルグラフィック社はお金儲けを考えていてけしからん」というような事が書かれていた。本物の学者や神学者の立場から見ると、この手の眉唾ものの本は認めたくないのであろう。「ちょっとしつこいな、まだ言うんかい？」と思う程批判的で、こっちの方が逆に気になってしまい、あまり印象に残らなかった。ユダを他の12使徒より高く評価し、神格化した内容の故、おいそれと賛同出来ぬのも分かるが、最近の読者は目が肥えていて賢いので、商業的な作品を見抜くことはできる筈だ。話題になっているから映画や本を見ただけ、という人もいれば、そこから何かを得ようとする人もいるのだからそれぞれではないだろうか。私あたり後者で、世界史には興味があったものの、ヨーロッパの宗教についてはこの辺りから勉強するようになり、大いに役立った。図書館から何冊も借りたり購入して読んでしまった。また、キリスト教だけではなく、グノーシス主義、カタリ派、フリーメイソンまであらゆる組織が歴史を作ってきたことが分かり見方が変わった。

元々、福音書は数多存在していたものの、古代の修道士に抹消されたり、数々の戦いで消失したのち現存する福音書は4つ。これが今の聖書の原点にあたる。「マタイ」「マルコ」「ルカ」「ヨハネ」、古代初期のものはギリシャ語で書かれているという。初期ローマカトリックの歴史の代表的書物、ナグハマディ文書と死海文書がキリスト教の本当の起源を証言するのに役立つ。312年、ローマのコンスタンティヌス皇帝が戦いの前に夢を見て、「キリスト教徒になれば、勝利させる」という啓示を受けた。当時多神教だったローマも、戦いで勝利を収めることが出来た為、太陽神ソルを崇めていたコンスタンティヌスだが他の宗教を排除し、キリスト教を受け入れる。この頃、マクセンティウスを破り西ローマ帝国に君臨。更に東ローマ帝国のリキニウスが去り、324年、コンスタンティヌスは「帝国全土の支配者」となる。325年にはニカイア（会議）で、イエスの神聖や立場を巡り論争が頂点に達し、アリウス派、聖書史実派が勝利。「真の神なる真の神、造られずして生まれ、その本質において父なる神とひとつ」この信条が「神学の核」をなして、神の子イエスの定義となり現在に至る。こうして、世界中にキリスト教は広がっていった。

イスカリオテのユダ。銀貨30枚で師イエスを裏切ったこの男は、古くから忌み嫌われてきた。だが、歴史はユダをめぐって別の物語があったことを伝えている。このほど修復・解読された「ユダの福音書」によれば、ユダは裏切り者ではなく、イエスが深く信頼していた使徒だったという。

コプト文字で書かれたユダの福音書。正統派の教義とは相容れないこの文書は「異端」の烙印を押され、歴史から葬り去られた。だが1700年後、失われたはずのこの福音書のコプト語写本がエジプトの砂漠で見つかった。この写本は人々の思惑に翻弄され、紆余曲折を経て数奇な運命を辿った末に、朽ち果てる寸前だった。

もしこの文書が本物だったとしても、時すでに遅しで、カトリック教会の教義が根本から覆されることはないだろう。1700年の沈黙は長すぎた・・・気が遠くなるほどの長い年月、発見されなかったのもイエスの計らいなのかもしれない。(Yes　or　no?イエスかのぅ？）

この写本は、現在のところ1点しか確認されていないという。エジプトの聖アントニウス修道院で、4世紀の修道士の小部屋を覗き込むアントニー神父。まるでハリポタに出てくる校長先生のようだ。